ttymの家の最後の掃除、片づけだった。
転勤することになって、引っ越しすることになって、オレのココロはttymの町と海に対する執着でいっぱいになったけど、相方の心にはこの家に対する執着が強く残ったらしい。太陽の日差しが差し込み、緑が見え、鳥のさえずりが聞こえて庭を猫が横切る。そんな環境と、高い収納力を兼ね備えた今の家が、とても好きだったみたいだ。
それはともかく。
残った荷物を片づけ、床に掃除機をかける。水まわりを磨き上げる。古びて持って行けなかった絨毯を細かく切り刻んで可燃ゴミにする。絨毯を取り除くと床に粉が散っていたのでまた掃除機をかける。
こんな作業はもう最後にしよう、と前回の引っ越しの時に思ったはずだが、それは叶わなかった。
次の居住地では、いつ転勤になってもいいように、いつ引っ越しになってもいいように、整理整頓して少しでも身軽になろう。そんなことを考えながら、最後の片づけをした。
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部屋は空っぽになり、予想以上にゴミが出た。残っていた荷物や掃除用具ををクルマに積めるだけ押し込み、それでも残ったものは明日の引き渡しのときに持って帰ることにした。
いいところだった。
グッバイアディオス、さようなら。