半年経過。

相方が出勤途中に交通事故に巻き込まれた。後ろからトラックに追突され、先行車に追突した。サンドイッチ事故、というわけだ。

 

相方は、奇跡的に、外傷はなかった。打ち身はあるのて、しばらくは病院に通って経過を見る。

 

トラックが全面的に悪いので相方の過失はゼロ、車の修理代はトラックの保険から全額出るみたいだけど、後ろはメチャクチャになっていた。修理しても、がたつきが残りそうな、そんな様子だった。

 

 

荷台に乗っていたのはベビーカーとキックバイクだった。素手でキックバイクのホコリをはらっていたら、指になにか刺さってしまった。

 

割れたガラスの破片かもしれない。

 

 

今の街に引っ越してきてから買った愛車は、相方とドライブしたり、生まれてこれなかったもう一人のマイ愚息を火葬場まで乗せたり、アパートと病院を往復したり、相方とマイ愚息を乗せてリハビリに通ったり、思い出がたくさんつまる車だった。

 

燃費は良くないけれど、積載力が高くて、マイ愚息爆誕前は海や釣りに、聖誕後はベビーカーやオムツとかの大きい荷物を運ぶのに頑張ってくれた。

 

爽快な黄緑色で、道を走るだけで、海辺に停めるだけで、心が晴れるような気分にさせてくれた。SUPで海に出たときも、遠くから、帰りつくべき浜を教えてくれた。

 

そんな彼と、お別れすることになりそうだ。事故で大破した場合に、(修理代次第ではあるものの)新車を購入するための本体価格が下りる補償に加入していたからだ。

 

マイナーチェンジを経たモデルでは、何故か、もっともイカした色が、無かった。次点の水色も、無かった。メーカーには猛省してもらいたい。近ごろの半導体不足などで、即納できる車種は少なかった。

 

 

オレの通勤のためには車が必要で、相方がマイ愚息を送り迎えするのにも車が必要で、そうすると黄色い彼のことは諦めて、後継車を迎えるしかないわけで、泣く泣く、今の車種と同じで、うす水色の後継車を迎える算段を建てた。

 

話し合いが終わり、ディーラーの駐車場に停めてあった代車に乗り込むと、真正面に彼が居た。

 

 

自分でお金を出して買った車とのはじめてのお別れになると思い、お別れと感謝の気持ちを告げた。

 

グッバイアディオスさようなら。君と過ごした五年半は、オレの人生のなかで、間違いなく記憶に残る時期である。

 

短かったけれど。ありがとう。