寒い寒い朝。

望み薄だろうと感じつつも、とにかく、行ってみないことには始まらない。

未明のGA隊堤防に行ってきた。

朝4時に起床、4時45分には現地に到着し、そのまま堤防に向かった。周囲には4〜5台の車があり、うち1台はアイドリング中。すでに先行者がいるものと思われた。

常夜灯の下で魚が跳ねた。一瞬アジでもいるのか、やはり常夜灯下なのか…と思ったのだが、これはセイゴだと後で知った。

堤防を進むが、岸に近いところには誰もいない。堤防の右岸には舟が係留されているが、その列が途切れたあたりから、ぽつんぽつんと釣り人の姿が見えた。だいたいの人が、輝度抑え目のヘッドライトをつけている。イスやクーラーボックスに腰かけ、かご釣りをしているのだろうか。

堤防の先へと進む。

先端に近いところには2人組の釣り人がおり(2つのヘッドライトが近い位置にあったのでそう推測した)、その少し手前にも腰かけている釣り人がいたため、先端から少し戻ったあたりに陣取る。あたりは真っ暗で、光が差す気配もない。腰からぶら提げたランタンの明かりを頼りに、竿を振り出し、ルアーを装着する。

まだ空は真っ暗だが、とりあえずエギをキャスト。何事も起きる気配は無いが、これは練習だ。

東の空が少しずつ白み始め…まではいかないが、少し明るくなってきた。もう少しで5時半になろうかという時刻だ。やはり、5時前というのは来るのには早すぎたんだろう。場所をとるためには早いほうが良いのは自明だが、冬に向かう季節の早朝は寒い。

海面の様子が見える程度に明るくなったところでメタルジグに換装、キャストを開始した。ごく稀に小規模のナブラが立つ。

「おはようございます」と誰かに声をかけられた。顔見知りの人だった。すこし会話してみると、堤防の岸に近いところでエギを投げていたところ、根掛かりしてしまい、なけなしのエギを失った、と悲しい顔で告げられた。気の毒に思ったが、自分にはどうしようもない。新しいエギを買うしかないと思ったが、口には出さなかった。

気分を切り替え、黙々とメタルジグを投げ続ける。ナブラはやはりごく小規模なものが散発的に見える程度。

ベイトはいる。メタルジグの着水や、操作ミスで水面に近付いた時など、小魚が水面から跳ねるのが見えるからだ。しかし、肝心の回遊魚の気配は無かった。

その後、日が昇り、フローティングミノーに換装して投げ続けたが、何も起こらず、6時半ごろに撤収した。とにかく寒かった。

退却途中、堤防の岸に近いところにはたくさんのスミ跡があった。紋甲イカがいるんだろう。また、堤防先端よりの隣にいた釣り人は、かご釣りでアジを漁獲していた。夜明け前からコマセをまいて、我慢強く釣っていたんだろうな、と想像。

結論。

回遊魚はいない。“まだ”いないのか、“もう”いないのか、大きな違いだがそれを知るすべは無い。

ただ、イカはいる。夕暮れ時、岸に近いところでエギを投げる価値はありそうだ。

先端にはアジもいる。地道な釣りになるだろうが、やってみる価値はあるだろう。

今日も今日とて丸坊主だが、いつか釣れる日が来るだろう。

いつか来るその日を迎えるためには、普段からこの場所に足を運ぶ必要があるのだろう。そう思った。